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インテグリティとは何か

· Compliance

「… 当社の目標は明快です。世界で最も持続可能な会社となることです。私たちはイノベーションをもたらすことに焦点を当て、誠意と透明性をもって行動することにより、長期的な成長の実現を目指しています。」

おそらくはほぼ全ての経営者が同じことを言うだろう。ちなみに上記の文章は、日産自動車の2016年版SUSTANABILITY REPORTにある、カルロス・ゴーン氏のCEOメッセージだ。ちなみに英語版では、上記の文章は、こう記載されている。

Our goals are clear: We want to be one of the most sustainable companies in the world and to achieve long-term growth by focusing on innovation and acting with integrity and transparency.”

ここでは、integrityという言葉が日本語版では「誠意」ということばに置き換えられている。私は、常々、integrityを「誠意」と表現するのは誤りだと思っている。この言葉は、もともと日本語には存在しない言葉であり、これを、いくつかの英和辞典がそうであるように、誠意とか、誠実性の原則、とか、清廉潔白、といった日本語に置き換えるのは、本来の意味を伝えていないので、誤りである。

Integrityの語源はintegerというラテン語であり、傷がついていない完全な状態を示すことばである。integrityを英英辞典でひもとき、それをわかりやすい日本語にすると、例えばこうなる。

「もしあなたが「インテグリティがある人」なら、あなたはモラル上の原則に基づいて行動し、いかなる困難な状況のもとでも、あなたは変わらない。誰かが見ていても、誰も見ていなくても、言っていることとやっていることが同じである。」

そして、ある辞典にでてくる例文はこれである。

My husband was a man of integrity.

“Was” とあり、文脈上、これは葬儀の際のスピーチであることがわかる。亡くなった夫を讃える最大限の褒め言葉であり、日本語の「誠意」とは全く異なる極めて高次元の概念である。このスピーチで、この言葉をたとえば”compliance”にかえることは絶対にできない。

「知られると批判され、批判されたくないので、何らかの方法でそれを隠し、知られないようにするが、万が一それが知られると、批判される状態」を作り出す行動を企業経営において行う、というのは、インテグリティをもった経営者のすることではない。企業経営者としての資質の問題は、それが犯罪を構成するかとか、身柄を拘束する理由があるか、という問題とは別に、論じられなければならない。株主総会や取締役会での判断は、証拠の優越程度でよく、合理的な疑いをいれない証明(つまり有罪判決の確定)を待つ必要はないし、待ってはいけない。

インテグリティと会社のDNAについては会社のDNAを変える方法を参照。

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