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「不適切だが違法ではない」?

最近の報道をみて思ったこと

· Compliance

金額の多寡を問わず、接待や贈り物をするほうも受けるほうも、いずれも、少なくとも会社に対する事後報告の対象(こちら側のポジションや相手や金額によっては事前許可の対象)にすべきだと思う。民間同士であっても賄賂の罪が成立し実際にエンフォースされている国は意外に多いし、増えつつあるようだ。

私は以前、企業内弁護士であったときの職場でそのようなルールに変え実行した。そうしないと、例えば同じ人相手の接待や贈り物の会社全体での合計が分からなくなるからだ。それを容易に実現するITシステムをグローバルにすぐ作れる会社はそうすべきだし、そのような余力がない会社も、そのような「名寄せ集計」をしようと思えばできる状況にすべきである。GC/CLO/CCOがそのような事後報告(または事前許可)の記録を一手に管理すればよい。度が過ぎたものは、GCが取締役会への報告をCEOに進言すべきである。CEOがそれを嫌がるなら、GCはそのような会社は辞職した方が良い。「不適切な行為の隠蔽にかかわった」というインテグリティに関する不名誉な烙印が一旦押されると、ロイヤーとしての将来はなくなるかもしれない。インテグリティさえ失わなければ、再就職のチャンスはある。

法務・コンプライアンスのトップがせいぜい部長クラスの企業だと、上司を無視して取締役会にそのような報告をすることはできないだろう。サラリーマンの出世の到達点が社内取締役であるような典型的な日本の古い体質の会社で、出世競争に勝ち抜き、自分を引き立ててくれた会長・社長に取締役にしてもらい、定年前の一定年数を取締役として過ごすことができることになった、いわば「勝ち組」取締役が、適切なバックグラウンドもないのに、法務やコンプライアンス「も」担当の職務のひとつになっているような場合、そのような法務・コンプライアンス担当の社内取締役にそのような役割を期待できるはずがない。

「不適切だが違法ではない」という言葉はおそらく日本の多くの企業の中でしばしば登場する言葉だろう。もしかするとそのような言葉が記載された法律事務所の意見書があったりするのかもしれない。しかしそれで終わっていては企業内弁護士の価値はない。企業内弁護士はその先をどうするかが問われている。直ちに違法ではなくても、株主がどう判断するか、文春・新潮リスクにどう対処するか。

「相当の出血は伴いますが今ただちにこれこれしかじかをし、これこれの開示をしましょう。会社のこれまでのプロセスはこのような問題がありますから、これこれしかじかの改善を直ちに開始しいつまでに終了させましょう。」という、出血はともなうし余計な手間と費用はかかるし会社の業務に(社長が考えるところの)悪影響があること(耳の痛い話)を、「早い時期に」するのがGCの仕事である。必要な時にはそのような耳の痛い話を早めにするGCを必要としているCEOであれば、GCはよい仕事をすることができるだろう。しかし現実は、それをせずに、問題解決を先送りにし、のちに大問題になる企業が後を絶たない。

会社経営の舵取りについて、退職のリスクをかけてをまともな方向に維持しようとしてくれる(耳の痛いことを言う)側近を雇えるなら、たとえ他の生え抜き社内取締役のだれよりも給料が高くても、雇った方が会社と従業員と取引先と社会のためである。その実現を阻む理由の一つが本社の旧態依然とした(日本だけで通用する)人事制度なら、そこを変えずに会社を変えることなどできない。その意味で、人事のトップも外部から招聘したほうがよい会社も少なくないだろう。

 

「GCを雇わないと、怖くて会社経営者なんてやってられない。」と経営者が思うようになるのはもう少し先である。

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